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妻の流産(3) [家族]

9時半を回ったころ、妻は呼ばれ一人で診察を受け、
戻ってきた。
さあよいよかと思ったが、戻ってきてもすぐには呼ばれなかった。
10分ぐらいたち、私が、簡単な手術でも何だかんだで時間が
取られるものさ、と妻に言っていると呼ばれた。
妻以外にもう一人の女性と同時である。
その女性も旦那さんと来ており、二人揃って名前を告げた看護婦のとこに行き話しをしている。
どうやら、手術に立ち会えるとか、旦那はどこで待つのかというような
ことを話しているらしい。
妻とは言えば、のんき?に荷物と私を置いて、行こうとするので、
呼びとめて荷物を持たせる。
私は? 手術が始まるのかと思いつつも、付いて行くべきか、
考えていると、もう一人の旦那は付いて行くようなので、私も行くことにした。呼んだ看護婦とともに4人でエレベーターに乗る。
手術を受けるのに他の夫婦と一緒とは、ちょっと居心地が悪い。
一度、三階まで行き下ろされたが、すぐに二階に下りた。
どうやら、病室がなかったらしい。病棟端の三人部屋に通された。

さっそく、これからの話しがされ、看護婦は出て行った。
妻は手術着に着替える、下着はどうするとか言うので、
手術だからできるだけ脱ぐべきと私は言うが、妻は寒いから嫌だと言う。
そんなこんなをしているうちに、看護婦が戻ってきて、麻酔を効かすために
注射をすると言い、妻の左肩に筋肉注射をする。
元来痛がりの妻は大変痛そうである。筋肉注射は血管よりも痛いからと
私は言った。注射が効きはじめる10分ぐらい後に始めるからと言い、
看護婦は出て行った。

10:50ぐらいに妻は、手術室に向かった。
私は暇になった。待つだけというのは辛い。
トイレに行くために部屋を出た。男性用トイレはどこかと、
廊下を掃除する中年女性に聞くと、一階にしかない言う。
さすが、産婦人科である。一階に下りると、待合室は
混んでいた。少子化という割には賑わっている産婦人科である。
本なども書いている有名な先生が院長だからだろう。
戻ってきて、もってきた雑誌を読んで時間をつぶす。
いつ戻ってくるかなぁと、ぼんやり病室の時計を時折見る。
だいぶ時間が経った気がして時計を見ても10分ぐらいしか経過していない。
お腹がすいてきたが、妻がいつ戻るか分からないので、病室で待つ。
11:30前ぐらいに妻は車いすに乗せられて戻ってきた。
看護助手さんが話しかけながら、妻を抱きかかえベッドに寝かせた。
横向きである。戻した時に器官が詰らないようにするためだろう。
前夜から絶食してるのでそのようなことはないだろうが。

目が覚めたらナースコールしてくださいねと看護助手が言い、
足早に去ろうとするので、すみません、どのくらいで覚めますかねと
聞くと、人によって違いますけど、1時間ぐらいですねとのこと。
私は座って待つことにする。ここで昼を買いに行って、妻が目を覚ました時に
私がいないってことになれば、付いて来た意味がなくなるからである。

仕方ないので時間つぶしのための雑誌を出して読む。
以外と集中して読めるので、不思議である。
また、トイレに行きたくなったので、1階に行くと、
未だに待合室は混んでいた。
戻ってきて時計を見る。あと、もうちょっとかなと、
思いつつ、雑誌を読む。
しばらくして、妻が足を動かした。
どうやら、麻酔が覚めたらしい。覚めたと聞くと、うんと答えた。
それを聞いて私はほっとした。
疲れたような眠そうな顔であった。
出産直後と同じような表情である。
そんな妻の顔を見るといとおしく思う。ちょっとエッチな気持にも
なるが、その気持ちは抑える。
ナースコールをし、麻酔から覚めたことを告げた。
おわり

タグ: 流産
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田中伸次

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